暴風域の中にて
趣味の1つであるスキューバダイビング。毎年この時期に休みを頂き弾丸であるが沖縄本島の中部へダイビングに行っている。やはり海のスポーツは夏に限る。そうなるとこの時期が私にとってはラストダイビング。今年も10月初旬に仲間を誘って本島へ出掛けた。しかし昨年もそうだったのだが、台風シーズンでもある。仕方ないといえば仕方はないのだが今年は大型台風23号と24号が直撃した。ダイビングはクルーズが出航しないため残念であったが中止。
大型の台風24号が抜ける時間。いわゆる暴風域にいたのは15時から20時。宿泊先のコテージにいたのだが、風速50mは初体験であった。スマホに避難勧告メールが届いた。旅行先で避難勧告ってシャレにならんなと思いながら外を見ていた。風がすごい。窓が大きく内側にせりだしてきていたし、外を見ると木々は見たことがないような揺れをしていた。コテージは別棟であったためホテルのフロントにルームチャージを依頼したら「安全のため外で出られません」とのこと。結局、大きな損害も無かったようだがそれでも被災した地域はあったという。過ぎるのを待つしかない。そんな心境だった
今回のトリップでは青森のリフォームのササキの佐々木社長夫妻と合流をした。佐々木社長の奥様は沖縄出身。地元ならではの情報を教えて頂いたのだがその中で興味深いことがあった。
「台風の目に入ったことがありますか?」
「ありません。どうなっているのですか?」
「台風の目に入ると見事なくらいの青空が拡がり、本当に今、台風なの??と疑うくらいです」
真ん中にいると本当はどうなっているのかわからないものなのか。その話を聞いて私は自分の事業のことを連想していた。
事業を初めて13年が経過をした。当初は10年続く会社が数パーセントを聞いていたから、おぼろげに10年という月日が1つの区切りになるのかなと感じていたが実際に10年経ってみてもその実感はなかった。建築業の世界では10億円というのが同じく1つの区切りになると聞いていた。
「10億やらないと経営じゃない」と厳しく言われたこともあった。その時はきっと10億円の売上を達成すると見える世界は変わるに違いないと思った。どんな感じなのだろう?世間の評判や評価、また社員の心持ちは変わるのだろうか。オレ自身はどうなのだろう??
しかし10億円を達成しても何の変化も何の興奮もなかった。もちろん達成感に包まれる人もおられるだろう。私はそうは感じなかった。むしろ少人数で3億円ぐらいが現場としての達成感は大きかったのかもしれない、と今なら感じることができる。
台風の目に入るとその一瞬は晴天が広がるという。暴風域の真ん中は平穏無事な世界。そこだけ切り取ってみると、晴天という事実はわかっても暴風域だという真実はわからないのではないか。
以前、私は事業の規模拡大に懐疑的であった。「事業を伸ばしてもその先に何があるのか?」という答えを持っていなかったし社員に説明をする自信もなかった。かといって「素晴らしきポジション」がどこなのかという問いにも答える自信がなかった。しかし確実に言えるのは毎年1つずつ歳を重ねているということである。諸行無常。私たちは毎日確実に死に近づいているのである。人生は1度しかない。
「せっかくのチャンスだし1度きりの人生だ!」と自分自身を鼓舞した。社員はそれに応えてくれた。もしかしてこの晴天は台風の目なのかもしれないと思う日もある。毎日起こるさまざまな事も終わってみれば、たいした傷ではないと感じるのだろうか。
どんな大きな台風も過ぎてしまえば過去のこと。折れた木もそれの生命力によって新しい緑を芽吹かせるだろう。私たちはまた新しい知恵を身につけ工夫を怠らないはずだ。いずれにせよ社会にとっては小さな存在。台風の目であろうとなかろうと、ここが暴風域であろうとなかろうと、今必要なのは、今すべきことに集中し、自分を見失わないことだろうと思う。
やまない雨はない。吹き止まない風もない。
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