紀元前から使われ続けるホーローの驚くべき魅力　お掃除いらずのキッチン・バスルームとは

「琺瑯」　←この字なんて読むか分かりますか？　え？タイトルを見てやって来たって？

そうです。「ほうろう(ホーロー)」です。

突然出てきたら戸惑いますよね、漢字テストに出てきたらアウトでした。

 

「ホーローのキッチン」、「ホーローのお風呂」などとはたまに耳にしますが、そもそもホーローって一体何なのでしょう…。　

 

私たちの生活の中で使われているホーローですがその歴史は意外にも古く紀元前にまで遡ります。

ホーローとは一体なんなのか、その特徴と歴史、さらには超便利なホーローのキッチンやバスルームをご紹介させて頂きます！

 

 

ホーローってなに？？

「ホーロー(琺瑯)」とは、鉄やアルミなどの金属素材の表面にガラス質を焼きつけたものの事を指します。これを英訳すると「エナメル(enamel)」と呼びます。知りませんでした…。

キレイな見た目で水や汚れに強くニオイが付きにくい、耐火性があるというガラスと金属の良い部分を併せ持っているのが特徴です。

身近なものだと食器、調理器具のほか、キッチンなどに使われる棚の面材、浴室等で使われているほか、広告看板や道路標識にも活用されています。

表面が割れやすいという欠点もありますが企業努力により頑丈さを備えているものもあります。

 

 

ホーローの歴史　そのルーツとは

「ホーロー(琺瑯)」の呼び方のルーツは古代インドのサンスクリット語で「フーリンカン＝七宝質」と呼んでいたことに遡るという説があります。

梵語で七宝質のことを払菻嵌(フーリンカン)と呼び、「払菻嵌（フーリンカン）→払菻（フーリン）→発藍（ハツラン）→仏郎嵌（フーロウカン）→法郎（ホーロー）→琺瑯（ホーロー）」と転じたそうです。

七宝とは、金・銀・瑠璃（るり）・玻璃（はり）・しゃこ・珊瑚（さんご）・瑪瑙（めのう）の７種類の宝物のことを指します。鮮やかな見た目と褪せない美しさは宝物と呼んでも過言ではありませんね。

 

このホーローが用いられた最初期の作品はなんとエジプトのツタンカーメンの黄金マスクだそうです。制作されたのは紀元前約1300年頃にまでさかのぼります。

また、ホーロー技術の伝播のルーツとしてはエーゲ海のミコノス島で発掘されたものが今現在最古のもののようで、金の表面の凹みに青色ガラスのホーローが充填されていたものがその最初のもののようです。こちらは紀元前1425年頃の製作と推測されます。

その後、この技術はキプロス島とギリシャの東西へ二手に分かれ、西はフランス、ドイツへ、東は中東を経て中国、朝鮮半島、そして日本へやってきました。

 

 

日本への伝来

ホーローが日本にやってきたのは飛鳥時代(約1400年前)、シルクロードを経て伝わったと言われています。当時のホーローについては調査が進んでいないようで詳しいことはあまりよく分かっていないそうです。

国内の最初期のホーロー作品は奈良時代(8世紀頃)に作られたという正倉院の十二陵鏡だそうです。

国内、世界的に見てもホーローは近年に至るまで、長らくの間裕福な人々装飾品として扱われてきました。

 

装飾品から実用化の時代へ

ホーローが生活の実用的な素材として注目され始めたのは18～19世紀ごろのこと。

イギリスにてホーローを鉄のサビ止めとして活用されたのを始まりに、ドイツ、オーストリア地方を中心にホーロー工業は発展し始めました。

日本では1866年(慶応2年)。坂本龍馬の仲介で西郷隆盛、桂小五郎らが会談し薩長同盟が成立した年のこと、伊勢桑名の広瀬与左衛門という方が鉄鍋の内部にサビ止めとして鋳鉄ほうろう鍋を作ったのが始まりと言われています。

この頃からホーローは国内外ともにひとつの素材として、鍋に始まる調理器具、食器類から生産、発展がはじまりました。当初は技術不足などもあり「はげ易い」というイメージがありましたが、技術の発展とともに耐衝撃性も増し、品質も段々と向上していきました。

時代と技術進歩とともにホーローという素材への信頼性は確かなものになってゆき、浴槽、タンク、化学機器、燃焼機器、建材、医療器具等々、様々な分野に幅を広げることとなりました。

 

ホーローの種類

ホーローとひと口に言ってもその種別は様々です。

ホーローに使われる金属の大半は鉄が用いられており、鉄のホーローには大きく分けて「鋼板ホーロー」、「鋳鉄ホーロー」の2種類があり、用途によって使い分けられています。

ホーローに使われる金属も鉄のみならず、アルミ、ステンレス等々用途によって使い分けられています。

また、金、銀、銅などを使ったホーローは主に工芸品として扱われ、「七宝」と呼ばれています。

 

鋼板ホーローは、ホーロー用鋼板を加工し鉄鍋に成型します。鍋製品で言えば鋼板ホーローは熱が伝わりやすく素早い調理が可能ですが、鋳鉄ホーローに比べ保温性には優れません。元々が板状なので加工の自由度は低いですが素材が軽く持ち運びがしやすいのが特徴です。

鋳鉄のものに比べ多くの用途で鋼板の方がよく使われます。

家の中のものではシステムキッチンや浴室の面材、壁材などで使われています。

 

対して鋳鉄ホーローは加熱して溶かした金属を型に流し込んで加工を行います。

鍋製品の場合は鋼板製に比べ重量がありますが、その分熱がじっくりと伝わり、保温性にも優れています。家の中のものでは例えばホーロー製浴槽は鋳鉄で製作されています。

 

ホーローと言えばタカラ　現代のホーロー技術とは

さて、ここまではホーローの歴史について解説させて頂きましたが、ここからは現代を生きるホーロー製品についてご紹介していきます。

 

ホーローと言えば「タカラスタンダード」が有名です(以下タカラと略)。Robinのリフォームでもタカラの製品を多く取り扱っております。今回はタカラの製品を中心にご紹介させて頂きます。

 

タカラのホーロー製品　共通特徴

・ガラスの強み　ホーロー製品はいつまでもキレイ　

タカラのホーロー面材、壁材は汚れを寄せ付けず、長期間キレイな状態を維持し続けます。

改めて、ホーローの特徴は水や汚れに強くニオイが付きにくいということ。

ホーローの材質は油汚れだろうが何だろうが洗剤要らずで、水拭きでさっと拭きとることができます。これはガラス質の大きな強み。そもそも、汚れが染み込むということが無いのです。長期間キレイを維持できるだけでなく。洗剤などのコストカット、さらには清掃時間のカット。「お手入がしやすい」のではなく「お手入れがいらない」というわけです。

 

・収納性抜群、レイアウトは自由自在、後から位置替えもOK

ホーローは鉄でもありますのでマグネットの収納を自由自在に取り付けることができます。

浴室、キッチンともに需要に応じた収納がそれぞれ用意されています。

新築・リフォームあるあるで「よかれと思ってこういうレイアウトにしたけど、やっぱ違うのにしとけばよかった」というのはたまに耳にします。どれだけイメージプランを組み立てても実際に使ってみないと実感できないことってありますよね。

ホーローの住設ならばそういったストレスを感じることなく過ごせます。後から変えることもできるし、変な話ホーローの壁があるだけ、どれだけでもマグネット収納を付けることができます。

ライフスタイルによって利便性が変わるということもあると思うので後から変えられるというのは中々に魅力的ですね。また、発注前のイメージプランニングの時間もホーロー製と決まっていればある程度抑えられそうです。

 

・頑丈な高品位ホーロー　弱点もカバー

あらゆる面において強いホーローですが、衝撃に弱く割れやすいというのが昔から言われている弱点でした。

現代ではこうした弱点を克服し、頑丈なホーローを実現しています。

ホーローの品質は鋼板とガラス質の複合性、密着性の良し悪しで大きく左右されます。

密着性が強ければ強いほど割れにくく頑丈なホーローとなるのです。

タカラ製品はガラス質と密着率の良いオリジナルの鋼板を使用し、密着性の高いホーローを実現しています。

固いものが当たっても、固いタワシで磨いても、ちょっとやそっとではキズがつきません。

耐熱性も高く、火を近づけてもススが付くだけで変色、変形が起こりません。

 

タカラのホーロー商品をご紹介！

システムキッチン

タカラのホーロー製システムキッチンは棚の面材やキッチンパネルはもちろんのこと、引き出しの内側もホーローで作られています。

中でこぼれた汚れってなかなか気づきづらいですからね。気づいたときにさっとふき取ってオシマイできるのは気持ちよさそうですね。

さらに、水に強いから濡れたままのボウルやザルをそのまま収納なんてこともできちゃいます。

 

マグネット収納も充実しており、引き出し内部の小分けから調理器具、調味料ラック、レシピやタブレット立てまであり自分好みの使いやすいキッチンをカスタムできてしまいます。

レンジフードもホーロー製。汚れのつきやすいほとんどの部分をホーローでまかなわれており、水拭きや食洗器の使用で手軽にお手入れができます。

現場に立つ筆者の経験談としましては、キッチンの入れ替え工事でお客様がそれまで使われていたキッチンを引き上げるということも多々あります。大体どれも20年～40年近くは使われ年季も入っています。しかし、ホーロー製のものはひと際綺麗で、汚れや褪せが見受けられないものが多いです。「これが本当に数十年前のものなのか」と疑ってしまうものも中にはありました。

 

ここではホーローにまつわる性能をピックアップさせて頂きましたがそのほかにも便利で魅力的な機能が充実しています。

詳しくはこちらでご確認ください！↓

タカラスタンダードのキッチンについての詳しい情報はコチラ

キッチンのリフォームについての詳しい内容はコチラ

 

タカラのバスルーム

鋳物ホーロー浴槽

タカラは浴槽もホーロー製。ホーローだから実現できる効果も様々です。

真珠のようなガラス層

ホーローなので表面はガラス質でできています。真珠のような奥行きのある光沢と、肌に吸い付くようなしっとりとした触り心地を感じ取ることができます。

ホーロー浴槽はガラス層、鋳鉄、保温の3層構造をしています。

真ん中の鋳鉄部分がお湯の熱を蓄え、保温材がそれを逃さずキープしてくれます。

お湯の熱と浴槽の蓄熱で早く、そして長く、ぽかぽか状態を作り出してくれます。

鋳物ホーロー浴槽が作り出す最高水準の入り心地はキング・オブ・バスと呼ばれ、

国内外の多数高級ホテルでも採用されています。

 

この他、タカラではアクリル人工大理石、ステンレス、ＦＲＰと様々な種類の浴槽を取り扱っています。

 

お手入れ楽々

もう言わずもがなですね。お手入れの手間いらずです。

ガラス層のなめらかさは一般的な浴槽の表面に比べ約5倍だそうで、水をかけるだけで落ちてしまう汚れもあるうえ、雑菌なども付着、繁殖が極めて少ないです。

こちらも例に漏れず傷のつきにくい素材で、長期間キレイ状態を維持できます。

壁ももちろんホーロー製。手間いらずでお手入れができるほか、マグネット収納で自由なレイアウトを作り出せます。また、お子様のいるご家庭ならばこれらを利用してこんなに楽しそうな浴室を作り出すことができてしまいます。毎日の入浴が楽しくなりますね。

バスルームもホーロー以外に様々な利便性、魅力を持っています。

 

詳しくはこちらをご確認下さい！↓

タカラの浴室についての詳しい情報はコチラ

お風呂のリフォームについての詳しい情報はコチラ

内装材

お部屋の内装材としても取り扱いがあります。

汚れやにおい、傷がつきにくいので水廻りはもちろんのこと、ペットがいるご家庭でも長い間キレイ状態を保ち続けてくれます。また、火にも強いので火事の心配もありません。

 

さらに、どんな汚れもふき取れるからこんな遊び心のあることもできてしまいます。

何かひらめいた時、一面に数式を書き連ねるのもヨシです。

こちらも磁石でくっつくからいろんなレイアウトが楽しめます。模様替えも自由自在。

このカウンターや小棚、どれも磁石を利用して設置されてるんですよ。

例えば、石膏ボードやベニヤのような普通の壁にちょっとしたカウンターを設置したいとき、

カウンターの固定には工具がいるし、時間もそこそこかかります。数年後に模様替えなどで移動または撤去するとそこにはビスの後が残ってしまいます。

ホーローの壁ならどうでしょう。やることは磁石でくっつけるだけだから工具もいらないし時間もかからない、後も残らない。長期的な使用を考えると様々なメリットが浮かびますね。

タカラの内装材の詳しい情報はコチラ

Robinの施工事例をご紹介

岐阜県下呂市キッチンリフォーム

キッチンパネルもホーロー製です。タイマーやペーパタオルホルダーなど、早速利便性が発揮されていますね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。装飾品から実用品まで、ホーローがこんなにも長く私たちとともにあり続けたのにはワケがありました。

思うにホーローの良さというのは、ガラス質と金属のそれぞれの良さを発揮しているだけでなく、ガラスの脆さ、鉄の錆びやすさをお互いの長所で補いあっているからこそ、こんなにも強く、現代まで発展を遂げられたのではないかと思います。結婚したらホーローのような夫婦像を目指したいものです。

今回はホーローの歴史と魅力についてご紹介させて頂きました。

ご清覧ありがとうございました。

(文責　中島貴志)

 

ホーローの歴史について

参考

東罐マテリアル・テクノロジー株式会社「琺瑯の歴史について」

Wikipedia

一般社団法人 日本琺瑯工業会 「ほうろうの歴史」