身近な断熱材であったかい玄関を 断熱DIYや最新ドアをご紹介
目次
玄関が寒すぎる! 玄関ドア断熱からはじめる寒さ対策
うだるような暑さから一転、暖房が必要な季節がやってきました。お家の中で寒い場所と聞いて、思い浮かべる場所はどこでしょうか。窓際、お風呂、トイレと続けば、次にあげられるのは『玄関』。玄関が独立している空間ならまだしも、廊下と直結している場合、まるで廊下が屋外のような寒さになることも。今回はあたたかい玄関を作るコツをお伝えいたします。その厳しい寒さがどこからやってくるのか、今すぐDIYなどご自身の手で対策できることはあるのかを順を追ってご解説します。どうかごゆっくり読んでいただければと思います。
冷気は玄関のここから 寒さの侵入口3選!
屋内なのに、まるで外のよう。なんで玄関って、こうも寒いのでしょうか。パッと見た感じでは、スキマがあるわけでもなさそうです。しかし、よくよく見てください。こんなところから、寒さは自宅の内側に侵入してくるのです。
1玄関ドアとドア枠、ドアに空いたポスト等、物理的なスキマがある
一度じっくり玄関ドアを観察してみて下さい。どこからかかすかに風が入ってきていませんか? 玄関ドアは常日頃から開け閉めが多い場所。年数がたちドアが劣化してくるとどうしても隙間が生まれてきます。すきま風は玄関だけでなく、そこに合った冷気を室内へと運び込むので対策した方が良いでしょう。
2玄関ドア自体が冷たい
玄関ドアが昔ながらの鉄板や、アルミ製の場合、寒さはドア本体からやってきているかもしれません。ドアの中に断熱材が入っていないと、内側に結露が発生することも。
3窓が大きい
玄関ドアに大きなすりガラスなどの窓が付いている、玄関ドア以外に窓がある。そのような場合、寒さは窓からやってきているかもしれません。例え扉を閉めていても、寒さは窓をすり抜けてやってくるのです。
寒さをシャットアウトするために、効果的な断熱を知ろう!
寒さの侵入口が判明し、後は対策を打つのみ。では、本当に意味のある断熱とは、どのようなものでしょうか。玄関だけでなく、お家全体で活用できる断熱の基礎知識。ここでは分かりやすく、クイズ形式で断熱について知っていきましょう!
断熱クイズ! 極寒から身を守るため、逃げ込むのはどの建物?
それではさっそく問題です。ここは岐阜県高山市。冬の寒さが厳しいこの地域で、あなたは迷子になってしまいました。運が悪いことに雪もちらほら降り始め、あたりはどんどん寒くなるばかり。ふと前を向くと、なにやら建物が見えてきます。近づいてみると、ちょうど人がひとり入れるほどの大きさの建物がいくつも横に並んでいました。どうやら、建物はそれぞれ別の材質で作られているようです。寒さをしのぐため、あなたはどの建物に逃げ込めばいいでしょうか。(壁の厚みはすべて同じ、室内の床の冷たさは考えないものとします)
1アルミニウムでできた建物
2鉄でできた建物
3石でできた建物
4木でできた建物
5コンクリートでできた建物
6ガラスでできた建物
7雪でできた建物
ここで一旦スクロールを止め、ちょっとだけ考えてみて下さい。
それでは正解をお伝えします。
正解は、7雪でできた建物、でした! 正解した方、おめでとうございます!
いかがだったでしょうか。意外な結果でしたか?
ですが断熱を知る上で、正しい知識は非常に大切です。なぜ雪の建物の断熱性が最も優れているのかを、これからご説明していきます。
断熱に必要な知識、熱伝導率!
熱伝導率という言葉自体は聞いたことがあっても、実際の生活にどう役立てたらいいかと聞かれると、ちょっと難しいですよね。断熱を説明するうえで避けては通れない熱伝導率を分かりやすく解説します。
熱伝導率とは、物がどれくらい熱を伝えやすいかを示した値です。
冬にお鍋をつつく時、スプーンをアツアツの鍋にさしっぱなしだと、持てないほど熱くなってしまいます。ですが、同じ長さのお箸をおいていても、そんなことはありません。この違いはスプーンの素材ステンレスと、お箸の素材である木材の熱伝導率の差によるもの。
熱伝導率は数字が大きいほど、熱を伝える性質があります。ステンレスの熱伝導率は15。それに対し、木の熱伝導率は0.12程度。つまり、ステンレスは木の100倍近く熱をよく伝えるという事です。だから、お鍋にスプーンを指しっぱなしにしていると、さわれないほど熱くなってしまうのです。
材質ごとの熱伝導率
それではさっきのクイズを振り返ってみましょう。それぞれの物質の熱伝導率はこのようになっています。
つまり、熱の伝えやすさで考えると、アルミニウムの建物は雪の建物に比べて、2857倍も外の寒さを室内に伝えるのです。ひゃー、びっくり。なぜ雪でできた建物はこんなにも断熱性が高いのでしょうか。それには秘密があります。
水が凍ってできた雪には、氷と氷の間に多くの空気が含まれています。雪の断熱性を支えているのは、この空気!
意外に思われますが、空気の断熱性はトップクラス! 熱伝導率は何と驚異の0.02!
まさに圧巻の断熱性。雪の間に含まれた、停滞した空気の層は強烈な断熱材となります。なので、雪で作るかまくらは、雪でできているにもかかわらず、あれほどまでにあたたかいんですね。
断熱のポイントは空気? 実験で検証してみました!
先ほど、最強の断熱材は空気であるとお伝えしました。ですが、ちょっと待ってください。ではなぜ、空気で満たされている玄関は、あれほどまでに寒いのでしょうか。なんだか変な話ですよね。というわけでこの記事を書いている私自ら、空気の断熱性を実験してみました!(危険ですので、マネはしないでくださいね)
用意したのはコチラ。
アツアツの熱湯が注がれたマグカップ。
そして空気を掴むことはできないので、代わりにこのプチプチを用意しました。
ビニールは薄いため、熱はあっという間に伝わります。なので、私の手を守ってくれるのは、プチプチの中にある空気のみ。はたして、どうなるのやら。お店の湯沸かし器で沸かした熱湯を使っているので、マグカップはちゃんと熱いです。
カメラを近づけると湯気で曇ります。マグカップはタイルと同じ陶器製。熱伝導率はおおよそ1.3です。ガラスの1と近しく、陶器のマグカップの方がわずかに熱を伝えやすい程度。
準備は整いました。それでは、実験開始!
まずは手を近づけてみます。
この距離で、すでに熱い。マグカップの表面から、なにやら熱気のようなものを感じます。間違いなくこれは熱い。本能がそう告げています。この状態で手とマグカップの間には空気の層があるはずですが、かなり熱いような。あんなプチプチで防げるのか、少し不安になってきました。
次に用意したプチプチを、先程の手とマグカップの距離と同じぐらいの厚みに調整。
それをマグカップに巻いて持ってみると……。
あ、熱くない!! ちゃんと持てる!! プチプチの中に入っている空気の層が、見事断熱材の効果を発揮してくれました。いやぁ、空気ってすごい!
でも、なぜ最初手を近づけたときは熱く感じたのでしょうか。実験は新たな謎が生まれる結果に。
そして私は思いました。もしかすると、プチプチを加工している間に、マグカップの熱湯が冷めてしまったのではないか、と。それでは実験の意味がありません。私はあわててマグカップの温度を確かめるべく、無謀にもカップをわしづかみにしました。
あっつ!!!! めちゃくちゃ熱いじゃないですか!
カップはまだ熱々。プチプチを使うと熱くない。手を近づけるとやっぱり熱い。この差は何なのでしょう。
調べてみたところ、空気が断熱性を発揮するためには、ある条件が必要でした。その条件とは、“停滞”。空気はあたためられると軽くなり、風を起こしながら上昇していきます。
暖房を付けたとき、足元が寒いのに天井近くがあったまってしまうのはこれが原因です。つまり空気はとどめておかないと、対流してしまうのです。プチプチに断熱性能があったのは、ひとつひとつのプチプチの中で、空気が対流しないよう押しとどめられていたから。手を近づけて熱く感じたのは、マグカップの表面であたためられた空気が、上に向かって自由に流れていたからでした。
断熱のコツは、空気を停滞させることだったんですね。
DIYでできる! 今から始める断熱作戦!
お待たせしました! それではさっそく、断熱効果の高いDIYをご紹介していきます!
1スキマ風対策 スキマテープ
まずは空気をかき回す、スキマ風を止めてしまいましょう! クッション材付きのテープを玄関ドアに張り付けることで、扉を閉めたときにしっかりと密閉。スキマ風をもう通しません!
2金属製の扉には、空気の層で断熱!
マグカップよりもはるかに熱を通しやすい金属たち。仮にマグカップがまるまる鉄板でできていたら、大やけどしてしまいます。そんな金属製の扉には、プチプチと同じ原理で空気の層を作り断熱してしまいましょう! 平面の窓に張り付けやすいのは、プラスチック段ボールや、プチプチでしょう。ただし、材質が弱いため耐用年数は1~2年程度と考えた方が良いかもしれません。少々値が張りますが、ポリカーボネート製の中空パネルなどを使用すれば、もっと長持ちする断熱DIYが可能です。
これらを扉の内側に張り付けることで、冷気を遮断。玄関内の空気が触れる金属の面積が少なくなればなるほど、断熱性は向上します。
空気の断熱性を駆使することで、費用を抑えて玄関の断熱化が可能となります!
最新の断熱機能を備えた玄関ドアのご紹介
玄関ドアは分解することが難しいため、DIYでできることには限界があります。玄関ドアの消耗が激しい場合は、いっそのこと最新の断熱玄関ドアへのお取替えもご検討されてみて下さい。アッと驚くほど、玄関ドアは進化しています!
引用元:株式会社LIXIL グランデル2:スタンダード仕様(サーマルブレイク枠)
こちらはリクシルの断熱ドア。表面の素材は金属でも、中には断熱材がぎっしり。断熱材は発泡スチロール状で、中は小さな空気の泡で満たされています。この泡が小さくなればなるほど、空気の対流が制限されるので断熱効果が高まるのです。その効果はもちろん、プチプチ等DIYで対応可能なレベルをはるかに凌ぎます。
断熱されているのは板の部分だけではありません。ガラス部分には複層ガラスを採用しています。複層ガラスの間は空洞です。つまり、空気の層がガラスとガラスの間に作られています。窓も最強の断熱材、空気を上手に使った構造となっています。
こちらの玄関ドアは、断熱性もさることながら、通気性も確保。夏場に窓の部分を開ければ、鍵を閉めたままでも玄関に風を通すことができてしまいます。防犯性も考慮され、手が入らないような構造となっています。
DIYは安く対策を打てる反面、どうしてもデザイン性が犠牲になってしまいます。最新のドアであれば、美観を損ねることなく玄関を寒さから守ってくれます!
断熱性の高いドアは各社から売り出されており、ラインナップされているデザインも多種多様です。お近くのロビン店舗にお立ち寄り頂いた際、一緒にご確認頂ければと思います!
まとめ
今回は玄関の断熱についてご紹介しました。断熱の知識は、生活のいたるところで役に立ちます。空気の層を使った断熱は身近に溢れており、ダウンジャケットや布団など、探してみればたくさん見つかります。玄関に限らず、お家で寒かったり暑かったりする場所を、断熱の観点から見直してみてはいかがでしょうか。ロビンでは断熱に関するリフォームもたくさん行っています。政府より補助金が出る場合もあり、場合によってはお安く断熱リフォームすることも可能となります。お家の断熱でお悩みの方は、サイト上部の電話番号もしくはLINEにてご相談を承ります。予約せずとも、お近くの店舗までお越し頂けますと、ご相談に乗ることも可能です。お気軽にお申し付け下さい。
(文責 坂田 陵)
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