CEO’s mail:19.08
暑中お見舞い申し上げます。暑い日が続いています。熱中症などお気をつけください。
Robinの蜘手です。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
数年前から自宅の車庫にツバメの巣があります。1つの巣を使い回してくれればいいのですが、どういうわけか徐々に増えて現在は3つになりました。
巣ができた最初の数年は正直、勘弁してほしいなと思っていました。巣の下のコンクリート床はまだしも、洗車したばかりの車が巣を作った時の土と糞まみれになっていたこともあります。(巣を取っ払ってやろうか)と思ったのは1度や2度ではありません。しかし“つがい”のツバメが車庫で暮らしはじめ、いつしか数羽の小さな子ツバメが姿を表し、親ツバメがせっせと餌をやる様子や、大きくなった子ツバメが、嬉々とした声を奏でながら巣立っていく様を見るのはなんとも微笑ましいもの。
そんなわけで蜘手家では春から夏にかけて帰宅するとツバメの様子を下から伺うのが日課となりました。
先日、出張先でカミさんから連絡が入りました。5羽のうち1羽の子ツバメが巣から落ちてコンクリートの上にいる!どうしようか、という内容でした。今までも子ツバメが落ちていたことはあったのですが、そのいずれもすでに死んでいる状態でした。しかし今回はまだ生きているということ。
本来、ツバメは野鳥なので餌を与えることも、触ることも禁じられているようです。しかし昨日までピーチク、パーチク鳴いていた子ツバメが近所のネコや蛇(実際に巣を狙って下にいたことがあった!)の餌食になるのも忍びない。というわけで、元の巣ではなく(高くて届かない)、また別の場所に箱を置いて、カミさんが軍手をはめて巣に戻しました。しかしどうも他の子ツバメと比べても少し大きさも小さく、育ちが遅いように感じたようでした。
(他の子ツバメに比べて小さいってことは、他の4羽に押し出されたかな。親にも見捨てられたのかな)
その数日後、その小さい子ツバメが下に落ちているのを今度は私が見つけました。
(うーん、これは戻しても同じことかな)と思いましたが、私は子ツバメを箱に戻すことにしました。
少し大きくなっており、もう少しで飛び立ちそうなくらい元気でした。いい大人と逃げ回る子ツバメ。はたからみるとなんとも滑稽な画。たかがツバメのくせに手がかかるもんだ、と思いながら、なんとか捕まえて、箱に戻しました。軍手をはめていましたが、子ツバメの体温を感じました。(こいつ、生きたいと思っているな)と思いました。
そんなある日の午前、自宅の2階で仕事をしていると車庫の方でツバメの声がしました。騒がしいなと思い窓の外を見たら、ツバメが飛び回っているのが見えました。巣立ちでした。
(そういえば、あの小さいツバメ、どうだったかな。ちゃんと巣立てたかな)
私は車庫へ行って巣を下から見ましたが下からは姿が見えませんでした。私は脚立を設置し、上り、確認をすると箱の中で小さいままのツバメが死んでいました。見捨てられたのか、それともうまく餌を食べることができなかったのかはわかりません。たかがツバメ。どこにでもいるツバメなのに心がなんだか胸が痛く、苦しい思いがしました。そんな時、ふと石川逸子の「風」という詩が目にとまりました。以下、一部を抜粋。
“遠くのできごとに、人はやさしい。近くのできごとに人はだまりこむ。遠くのできごとに、人はうつくしく怒る。近くのできごとに人は新聞紙と同じ声をあげる”
テレビや映画で、ライオンが獲物を襲って食べる様や、アシカがシャチに捕らえられる様子を見ることがあります。
私たちはそれを「自然の摂理」や「弱肉強食」などと、頭で理解をするが、心に何か残るかといえばそうでもありません。それより私にとって、目の前で小さく死んでいるツバメがなんとも愛しかったのです。
世界ではあちこちで戦争や紛争が起こっています。遠くにある正義や真実も重要だが、心が動くのは身近な小さな現実だと思った出来事でした。そういえば、社員に理想ばかりを押し付けてはいやしないか、無理をさせていないか、小さい声に耳を傾けているか、と我が身を振り返った次第です。
株式会社ロビン 代表取締役 蜘手健介
最高経営責任者 蜘手 健介
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