2024年3月　暖かい３月　湯治と豊富温泉

　３月も半ばに差し掛かりました。二十四節気のひとつ「啓蟄」（冬籠りの虫が這い出る）は今年は３月５日だったようです。春の便りといえば桜。２月の終わりに伊豆の河津町近くに訪れたので、早咲きで有名な河津桜を見に行ったのですがすでに葉桜に。今年は１０日ほど早かったとのこと。残念でしたが機会があればまた訪れてみたいと思った今日この頃です。皆様はいかがお過ごしでしょうか。Robinの蜘手です。

　私的な話です。昨年、ある方から「奇跡の湯」の話を聞きました。いわゆる「湯治」なのですが、何に効くかといえば皮膚疾患、つまりアトピーや乾癬（かんせん：皮膚が赤く盛り上がる、皮膚の表面がボロボロと剥がれ落ちる）に効果があるというのです。それが北の大地・北海道の北部にある豊富町の豊富（とよとみ）温泉です。私も若い頃アトピーに悩まされました。今でも乾燥肌は変わっておらずトラブルは少なくありません。この話を聞いて私は豊富温泉に興味を持ちました。

　調べてみると約１００年前に石油採掘調査がきっかけで開湯。特徴は石油成分を含んでいることで日本でもただ１つだと言われている希少な温泉だそうです。その油分は保温保湿効果が高いとされ、油分に含まれるタールは乾癬やアトピーに対して抗炎症作用を発揮。さらに成分に多く含まれている重曹・ホウ素は皮膚を綺麗にする・殺菌効果が高いという特徴があるのだとか。

　それを知ってから、いつか行ってみたいと思っていました。しかし予定も機会も作れずにいたところ、長男に豊富温泉の湯治のことを伝えたら春休みを利用し行くというのでそれなら１泊だけでもと念願の豊富温泉へ訪れた次第です。

　行路です。中部セントレア空港から新千歳空港、プロペラ機に乗り継いで稚内空港まで１時間。稚内空港からは発着のANA国内線に接続する空港連絡バス（宗谷バス）に乗車し３０分ほどで日本最北端の駅であるJR稚内駅へ。そこから旭川方面の特急に乗り約４０分で豊富駅に着きます。そこから車で走ること１０分。（ホテルの方にお迎え頂きました）「奇跡の湯」の豊富温泉があります。湯治をする人の拠点は町営の入浴施設「ふれあいセンター」、私も到着後にすぐに行きました。施設内に温泉浴場は２つ。湯治用として低温度の温泉（痒みを誘発しないため？）と一般利用者用のもの。私は一般利用者用に入りましたが、休憩所には地元の方や湯治で来ているであろう方などを見かけました。

　さて感想です。風呂にうっすら石油成分が浮いているのがわかりました。噂に聞いていた、浴場に充満しているという石油成分の匂い（？）はあまり気になりませんでしたが、入浴後、自分の体から石油の匂いがしているのに気づきました。肌はしっとりと保湿されており膜が張られた感覚。１泊２日の弾丸湯治でしたが「奇跡の湯」と言われる所以を経験できた温泉でした。

　もちろんアトピーなどの皮膚疾患は皮膚だけの問題ではなくそもそもの体質、食生活、ストレス、アレルギーなど多くの要因が絡み合っています。皮膚表面だけの問題ではありません。しかし痒みや見た目の不調が気持ちをマイナスにさせる、ということはアトピー経験者なら痛いほどわかります。

　本格的な湯治は２〜３週間必要とするとのことでした。さすがに２週間は難しいですが、また時間を見つけて再訪したいと思いました。コンビニまで５キロメートルという周辺に何もない豊富温泉。良い季節に行けばアクティビティも楽しめます。若い頃に知っておけばよかったと思いました。もし皮膚疾患に悩む方がおられたら紹介してあげてください。私はニュー温泉閣ホテルに宿泊しました。湯治と共に気持ちをリフレッシュさせるには絶好の環境です。気になる方はぜひ調べて訪れてみてくださいね。

株式会社ロビン　最高経営責任者　蜘手健介

2024年2月　雪のない飛騨と春とステレオタイプ