(51)パワハラと教育と熱意ある指導と(2025.3.24)
兵庫県では、斎藤元彦知事の言動をめぐる内部告発文書について、県の委託を受けた第三者委員会が調査を実施。その結果、県の対応が公益通報者保護法に違反しているほか、知事の発言・行動は「パワハラ」に該当するとする報告書が、2024年3月に公表された。これを受け、斎藤知事は「重く受け止めることが大事」とコメントしている。
私は兵庫県に住んでいるわけでもなく、斎藤知事について深い知見があるわけではない。
ただ、仮に「業務が辛い」「きつい言葉を言われた」「そんな話を聞いた」といったレベルの印象や感情からパワハラ認定がされるようであれば、それはそれで非常に難しい時代になったと感じる。
さて人材教育はますます難しい時代になった。
「教育」「指導」「パワハラ」。この三つは似て非なるものだが、その境界線は年々あいまいになっている。
かつては、部下への厳しい叱責も「熱意ある指導」と受け取られる場面が多かった。しかし現代は、受け手の感情や職場の雰囲気を重視する時代。正しいことをまっすぐに言うだけでは、相手に届かないことも多い。
それでも、「正論」なしに教育や指導は成り立たない。正論は、目指すべき方向を示す“地図”のようなものだ。しかしその地図ばかりを振りかざしていては、人は離れていく。だからこそ今、求められているのは、相手の尊厳に配慮しながら、伝えるべきことを丁寧に届ける力だ。
「育てる」という営みの本質は、時代が変わっても変わらない。叱ることも、導くことも、相手の成長を信じてこそ意味を持つ。指導する立場にある者は、自らの言葉がどう響くかを常に問い続ける必要がある。
言葉は、人を傷つけもすれば、救いもする。だからこそ今、指導者には、繊細で誠実なコミュニケーションの力が強く求められている。
閑話休題
4月になれば、街には真新しいスーツに身を包んだ新社会人たちの姿が目立ち始める。毎年繰り返されてきたこの光景も、実は大きな転換期を迎えている。「4月一括入社」という日本型雇用の象徴が、今まさに見直されつつあるのだ。
住宅リフォーム業界においても、新卒の一括採用で人材を確保し、育て、業績を伸ばしてきた企業は少なくない。中途採用に比べてコストが抑えられ、若く素直な人材を自社色に育成しやすいというメリットもあった。弊社としても、できることなら一括採用を軸に採用戦略を組みたいと考えてきた。
しかし、現実は厳しい。新卒採用のコストは年々高騰し、そもそもエントリー数が集まらず、予定していた採用数を満たすことさえ難しくなっている。ようやく採用できたとしても、入社後の定着が難しく、早期離職に悩まされるケースも少なくない。
「安定」より「自分らしさ」を重視する若者たち。価値観の多様化が進む中、企業が一方的に期待を押し付ける時代は終わった。この流れは中小企業だけでなく、大手企業も同様だ。
富士通はすでに新卒一括採用を廃止し、通年採用へと舵を切った。新卒・中途の区分をなくし、採用時期や人数の枠も設けないという。これまで常識だった「4月入社」が特別な意味を持たなくなりつつある。
一方で、企業側も終身雇用という重たい約束を手放し始めている。パナソニックのような老舗企業でさえ、将来の業績については「見えない、読めない」と慎重な構えを崩さない。
何が起きるかわからない。だからこそ、変化に怯えるのではなく、変化を楽しみ、価値を創り出す側に立つことが、私たち経営者に求められている。採用の正解が一つではない時代。柔軟に、したたかに、次の一手を考えていきたい。

最高経営責任者 蜘手 健介
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