(4)本音と予定調和とコミュニケーション(2024.4.29)
弊社では1対1の社員面談が1月と7月の2回用意されている。
仕事の状況の聞き取りやメンタルの確認、会社への要望や要求などを聞くオフィシャルな機会だ。
噂話や飲み会の話題であがったことにはいちいち会社として反応しないが、この面談で伝えたことについては正式に回答するというのがルールになっている。
社員にとっては貴重だし、会社にとっても有意義な機会だと捉えている。
面談では現状認識の共有、仕事の環境や改善要望などさまざまな意見交換がある。
会社側ではもちろんそれは本音だと受け取るし、なかにも重い話題もある。成長の証や今後のキャリアについてなど継続的に議論をする重要な場である。
しかし毎回ではないが、過去に面談の後に退社の意向を伝えてくる社員がいた。
聞いてみるとこの面談がきっかけではなく「半年前からキツいと感じていて悩んでいた。」と前々からそのように感じていたというケース。中には転職活動をしていたという社員もいた。
今回もそのような面談後に退職願を出す社員がいた。
その面談記録を見返すと「うまくいかない、成績が出ない」といったことに悩んでいる様子だった。しかし店長とそれについて対策やメンタルの持ち方を話合い、最後は「はい、頑張ります」で締めくくられていた。まさかその時には辞めるなどとは思っていない。
店長曰く「人間不信になりそう」だとのこと。私も同じ感覚であり、偽りない気持ちである。
このようなことがあると執行部会議で「面談って本当にいるか?」と毎回、議論になる。本音を言ってくれなければ改善しようがない。
本音を聞くための面談がただの予定調和になっているのだろうか。
閑話休題。
欧米は多民族、多文化の人種で成り立っている国が多い。また国家間の人の往来も多く移民、難民を受け入れている国もある。
だから自分の意見、主張を物怖じ(ものおじ)せず伝えるという教育を受けると聞いたことがある。
確かに、私の周りにいる欧米人は日本に馴染んできているとはいえ、時に遠慮なく自分の要求を伝えてくる傾向がある。時に面倒く苛立つこともあるが、モジモジせずスッキリと付き合えて人間関係が楽だと感じこともある。
最近、コミュニケーションに関する書籍を読み始めたが外国人が著書の場合のスタンスは「言いたいことを言える関係性」がベター(ベストではないが)だとしているものが多い。
本音を言い合えないと真のコミュニケーションは成り立たない。このような論調である。
一方、日本は世界的に見れば日本民族と分類されモンドロイドの1つであり(以前、日本は単一民族発言し糾弾された大臣がいた)多民族国家とはいえない。文化も細かく仕切れば多少の違いはあるにせよ、大きく括ればどれも日本文化だと言い切れる。そして陸続きに誰かに侵略される心配もない島国国家である。
日本のコミュニケーション、人と人の付き合い方の深層的にあるものは「和を持って尊しとなす」という聖徳太子の十七条の憲法の第一条だと感じる。
本来の意味は「話合いをすることが大切」であるが「みんな仲良くやりなさい」と広くされている解釈され、私たちは子供の頃からそのように教育されている。
その結果、大人になっても「相手の気分が害したとしても言いたいことを言い要求を突きつける」より「波風を立てずにどうしようもない状況になるまでは静観する」という人が多いのではないだろうか。むしろ主張、要求、メリットばかりを突きつける人材は疎まれることこともある。
話を冒頭に戻すが、会社側からすると普段の仕事は「和を持って尊しとなす」という姿勢がないと周囲とはうまくやれない局面が多くあるだろうから、それはいい。建前や予定調和であっても仕方ないと思う。
しかしせめて面談の機会には本音の悩みや感じている自分の課題を伝えてほしい。自分の中で自分だけで解決策を求めたり、帰結することなく相談してほしい。
組織(コミュニティ)はそこに在籍する人たちの属性によって運営方法は変わる。日本人は良い悪いではなく和と予定調和を優先する傾向がある。これは否定しないが、やはり本音で話をする場で本音を伝えられないのは組織を膠着させる。
普段のコミュニケーションがどうなされているかに解があるのではないかと思う次第。
最高経営責任者 蜘手 健介
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