企業理念と世界観
パテックフィリップ社の世界観に圧倒
先日、東京・新宿で開催された時計ブランドであるパテックフィリップの展示会にお誘いを受けたので顔を出してきた。
「WATCH ART」という名称は誇張ではなく「時計という芸術品を揃えた博物展」だった。
開催費用は10億円をゆうに超えると聞いたが入場は無料。すごいもんだ。
あちこちから感嘆の声とため息が聞こえた。
パテックフィリップは倒産しかけた時にティファニーの支援を受けたとか女王に献上したなど物語と歴史がある。また近年の世界的な高級時計リセールの高額化の代表格のブランドで、正規代理店での購入が非常に難しくなっている。欲しくても買えない、お金があっても提供してもらえない時計。
ブランドとは所有者ではなく羨望する非所有の存在が欠かせない、そう感じた展示会だった。パテックの世界観、哲学、理念が凝縮された空間はこちらの感覚も麻痺させる何かがあった。販売をしていなくて本当に良かったと自宅に戻ってから我に返った次第(笑)
企業活動の根幹にあるものと発信力
弊社ロビン社は昨年6月、私が社長を降り新取締役社長に2名を据えてから1年が経過した。後任の2人は寝食を犠牲にしよくやってくれており頼もしい限り。
現場の業務の品質とレベルは高くなりつつあるし、仕事の押し込みは強くなった。現場での緊張感も増したと思う。想定の範囲内だったがハレーション的な社員退職、離脱もあった。理念や思いなどの発信は簡単ではない。むしろオーナーである私がもっと積極的に組織に声かけをする必要があったと反省する点である。
顧客中心主義の本質とは
さて弊社は企業理念の根幹に「顧客中心主義」を置いている。
顧客の周りに従業員、職人会、地域社会などがあり、あくまで顧客がいてからこそという考え方である。一見すると「顧客のために何でもする」と解釈されそうだが、実はそうではない。以下、社員掲示板で私が書いたメッセージである。
「顧客」とは「懇意にしてくださっているお客様」という意味だ。懇意とは「親しく交際し仲の良い間柄であること」の意である。
パッテクフィリップの展示会へ行き、世界が羨望の眼差しと所有を渇望するブランドの本質とは何か?と考えていた。
素晴らしい歴史と物語、また芸術的な作品はもちろん重要だがそれは本質ではない。やはり時計作りにかける哲学と理念、そしてプライドがパテック社で働く1人1人の心に染み込んでいるからだろうと思った。人が作り人が育てる。その結晶が物語と歴史、世界観を築いていくのである。
最高経営責任者 蜘手 健介
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