(23)町中華で思い出したあるお客様の話(2024.9.9)
以前、自宅から徒歩圏内にお気に入りの町中華があったのだがコロナ禍にて閉店。それ以来、少し離れた町中華へ行っていたが、やはり徒歩圏内で美味しい店を探してみようとようやく最近になって新規開拓を始めた。その1つ、ある町中華にて。
その店はギリギリ徒歩圏内、ネットの口コミ評価も高かった。店内はカウンターとテーブル席が3つ。私はカウンターに座った。店主が1人とバイトの中国人が数名。こじんまりしたザ・町中華。雰囲気もOK、期待も上々だった。店内はいわゆるオープンキッチン形式。テンポよく振られた中華鍋から料理が調理され、出来上がっていく様子を見るのはとても面白かった。
オーダーした私の料理が出てきた。
熱々で香ばしい餃子、具沢山のチャーハン、大きくプリプリとしたエビチリ。人気店の理由がわかった気がした。
しかしオープンキッチンでの調理を見ていてあることに気がついた。料理をしている店主に清潔感がない。洗ってなさそうな汚れたエプロン。襟元が垂れたヨレヨレのTシャツ。長い髪を雑に縛った髪型。
そうなると塩が入った缶に指を突っ込み握り直して味付けしているのも気になりだした。私は潔癖症ではない。美味しい料理を安く提供してくれるならそれでいい。しかし最初のテンションはどこかへ行ってしまった。
知らぬが仏。聞くは気の毒、見るは目の毒。
後日、このことを人に話すと町中華ってそういうもんだ、オープンキッチンじゃなきゃ気が付かなかっただろ、と言われた。確かにその通り。料理が美味しくて雰囲気が良ければそれでいいはずだ。
オープンキッチンにしているなら清潔感も管理しないとダメだと思う自分もいたがいつの間にか店内は満員。なんなら店外で「待ち」も出ていた。
「町中華だからそんなに期待するな」が正解なのだろうか。
閑話休題。
理由はわからないがこの店であるお客様を思い出した。
以前、私が新築の初回面談を担当していた時、弊社の住宅とロビンに惚れ込み高い期待をしてくれたあるお客様が来られた。プランニングから仕様決め、無事契約、着工となった頃、そのお客様から担当営業へクレームが入った。
打ち合わせや仕様を決めた経緯をまとめた書類の不備について、決定、完成された情報の管理だけではなくボツ案や悩んだ経緯の跡、記録も保存してほしいということだった。当時、私たちは完全注文住宅をやっており打ち合わせ回数や時間も多かった。打ち合わせ時間が多くなればなるほど情報の混在は広く、そして深くなる。何を決めて、何を決めていないか、どちらにボールがあるのかがわからなくなく。そのようなこともあり、そして私の性格的なこともありボツ案や不採用資料はすべて潔く廃棄するようにしていた。
その廃棄していたものも資料としてまとめてほしい、これがお客様の希望だった。
「なぜですか?」と聞いた。すると
「私たちにとっては悩んだことすべてが家作り。それも楽しみたいからです」とご主人は言われた。
その時は「わかりました」と答えたものの、打ち合わせ時間や資料管理も膨大になるなあ、面倒だなあと思った。
あれから20年近く経った。当時、名古屋店では新築ラッシュで毎月多くのお客様と面談、契約をした。これからも右肩上がりに伸びていく。そう思っていた。しかしそんなフル回転状態が続き、社員も疲弊。現場も荒さが目立ってきた。
次第に競合との差がなくなり「あれ?」と感じていた時、2014年の消費増税で新築受注は7割減をした。2019年に名古屋店は撤退をした。敗走だった。
しかし敗走の本質はそこ(増税)じゃない。その前に天狗になっていた鼻がポッキリと折られていたのだと今になって気づいた。
理由はわからないが、その町中華でそのお客様のやりとりと名古屋店の超忙しかった頃を思い出したという話。
先述したお客様からはリフォームやメンテナンスの依頼はない。元気にされているだろうか。
最高経営責任者 蜘手 健介
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