(7)ますます差が出る大手企業と中小企業(2024.5.20)
5月半ばにさしかかり、大手企業の決算概要発表が始まった。
トヨタ自動車は3月期連結決算の営業利益が日本初の5兆円を超えだったと発表した。グループ総販売台数は1109万台で5%。好決算の追い風として値上げ効果が1兆円、円安効果で6850億円が営業利益を押し上げた要因であったようだ。今期決算は中国市場の苦戦、巨額の未来投資予算化などで大幅減益を予想しているようだが、日本を代表する企業の鼻息は荒いと感じた。そのわりに株価が冴えないと日経では報じられているがトヨタの好業績は今更、特別視することはではないということなのだろうか。
日本企業初!営業利益が5兆円超え トヨタが別格ともいえる決算説明会を開催(CARVIEW2024.5.11)
ソフトバンクは最終損益が約2200億円の赤字となり3年連続の赤字と発表をした。前期が1兆円近い赤字で今回はそれに比べると縮小されていること、また四半期ベースでは黒字化していることもあってこちらも鼻息の荒い決算発表だったようだ。
ソフトバンクGの後藤CFO 「AI時代をリードしたい」(日経 2024年5月14日)
想定為替レートに対する「感応度」をみると円が1円安くなるとトヨタは450億円、日産で120億円の利益押し上げになる。
逆に円安で利益が下がる企業もある。大手日用品のエステーは暖冬の影響と円安による仕入れコスト増で最終的利益が30%減少した。ドルに対し1円、円安が進むと経常利益が1000万円あまり押し下げられるようだ。
東証で決算発表ピーク 円安など背景に業績伸ばす企業目立つ(NHK NEWS WEB 2024.5.10)
円安によってのメリットデメリットはあるが、雇用の確保と税収を増やしたい国としたらトヨタや日産の味方をするのが必然の理。日本政府が半ば放置していた円相場の一因はここにある。
東証は上場企業の最終利益は27兆6757億円と前の年度より14・8%増え3年連続で過去最高を更新する見込みだという。
日経平均株価は3月に4万円台を突破、現在は調整が入り3万8000円前後で推移している。欧米に比べるとアグレッシブさに欠けるものの、2020年3月には1万6000円台だったことを考えると堅調であるといっていい。
閑話休題
内閣府が3月の消費動向調査を発表した。消費者心理を表す消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)は39.5で前月比0.5ポイント上昇した。19年5月以来、5年弱ぶりの高水準となった。春闘(春季労使交渉)での賃上げ期待が指数を押し上げたと分析している。大手企業は利益が出て、分配も順調ということか。
一方で総務省が毎月発表している家計調査報告の3月分がリリースされたがそれを見ると、消費支出(二人以上世帯)は1世帯あたり318,713円と物価変動の影響を除いた実質で前年同期比1.2%の減少、マイナスは13ヶ月連続だった。外食や自動車購入の支出が増えている。消費の落ち込みが激しいのは教育娯楽で5.7%、前年に実施した「全国旅行支援」の需要が落ち着き宿泊料の支出は27%減少した。
勤労者世帯収入も名目は増加しているが物価変動に追いついておらずこちらも前年同期比実質0.1%の減少、実収入は18ヶ月連続の実質減少となった。まだまだ国民の暮らしは「節約思考」であると考えられ、国内サービス業はインバウンドで大忙しといった状況だろうか。
大手企業の決算も好調、株価もそれなりに高水準、春闘満額回答の連発で大手企業社員もニンマリ。
では日本の就労者人口の7割、3310万人を支える中小企業はどうだろうか。
日本を支える中小企業(独立行政法人中小企業基盤整備機構事業)
中小企業にはサービス業やコミニケーションを必要とする労働集約型企業が集まっている。労働時間の規制は今後ますます大手企業との格差を生むだろうと危惧するばかりだ。
最高経営責任者 蜘手 健介
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