648(8)緊張と緩み 育った環境とメンタル(23.5.10)
私のゴルフ仲間には、若い頃はカーレースのプロドライバーとして世界を転戦し、活躍していた人がいる。プロスポーツにおける人々、特に世界での話は常に興味深い。
その方の主戦場は欧州で「成績が悪かったら即クビ。明日から来なくていい」という環境だったようで、結果を出し続けるドライバーのメンタルは非常に強いという。
強いドライバーはメンタルが強い。そんな話を聞いていた矢先、現在、世界一のF1ドライバーであるルイス・ハミルトンは、ポッドキャストで子ども時代に受けた人種差別やいじめについて告白した(彼はアフリカ系英国人です)。
成績が悪ければ仕事がなくなるという緊張感、自分を見下してきた人たちを見返してやるという強い気持ち。ハミルトンはマシンの出来不出来によって結果が左右するF1において常に優秀な成績を収めてきた。育った環境が全てを決めるとは思わないが、彼のアイデンティティには子供時代の辛い経験が影響していることは間違いない。
プロスポーツ界における選手の1つのゴールは複数年の大型契約だ。しかし後に活躍できなくなる選手を見ることは珍しくない。
実際、日本のプロ野球では、FAや大型契約をした後に長く活躍した選手はごくわずかだ。期待に添えなかった選手が圧倒的に多い。そもそもプロ野球の場合、大型契約をする時期がピークで、その後に下降曲線に入ることもあり、さらなる活躍を期待するのは論理的に簡単ではない。
しかし大型契約後の気持ちの緩みがハングリーさを失わせ結果的に活躍できなくなる理由だとしてもおかしくはない。
私は米国のNFL(アメリカンフットボール)のファンだが、複数年の大型契約をした選手が急に活躍できなくなったり、怪我で離脱したりするようなパターンは非常に多い。
練習に身が入らない、サボる、怪我を恐れて強いコンタクトをしなくなるなどで成績が上がらなくなることもあるのだろうか。特にアフリカ系選手は顕著で、そのような選手に限って熱心にSNSだけは更新し、時には痛烈な批判も投稿している。
ある意味、動機と目的がお金。とてもわかりやすい、さすがは米国。
閑話休題。
先日、ある経営者から「息子が自身の会社に入社してくるが、何からさせたらいいだろうか?」という内容の相談を受けた。
「厳しい環境だったからここまでやってこれた」という経営者は多い。
しかし、いざ自分の子供には「苦労させたくない。できれば厳しい環境は避けてあげたい」というのが親心。話をしていてそんなことを感じた。
今年のマネージャーカレッジには、大恵ペイント社の大本社長の息子が参加している。まだ入社して間もないが、すぐに営業に配属された。
部下はまだいないが、色々な経験をさせてあげたいということで研修に参加している。本人も期待を十分に感じているようだった。
先日の研修でその息子にこう話した。
「社長の息子が営業をするなら、目標達成できて当たり前、できなかったら三行半。いずれにしても満足することは何もない。このどっちに転んでもプラスはない。退路は絶たれている。しかし、重圧の下での経験は必ず実力になる」
本人も一層、身を引き締めている様子だった。
しかし、当の本人にはそう伝えましたが、経営者からすると違う見方ができます。達成できると自信になり、達成できなくて苦しい思いをするのも将来的にはプラスになる。
むしろ、達成できない方が長期的にはよいかもしれないとさえ感じる。先輩や後輩、現場への気配り、周りに支えられているという連帯感。うまくいかない時には知恵を出し、工夫をする。方法と動機づけなど1人でできることなどたかが知れている、ということも知ることができる。
厳しい環境に身を置くことが自分を強くするとわかっていても、できればそうでない環境を選びたいのが人間。できれば苦労はさせたくないし、余計な心配や緊張もさせたくない。
特に自分の子供ならなおさらだ。
大手企業でも、子供に事業を継承させる場合で失敗する事例はたくさんある。しかしなんとか頑張ってほしいと切に願っている。
たまたまこのコラムを書いている時に長野県中野市で中野市議会議員の長男で農業を営む31歳が4人を殺害した立てこもり事件と、岸田首相の長男で秘書官だった翔太郎氏が公邸で忘年会をした件で更迭されることが重なった。
どちらもタイミング的に長男が関与したという点で一致している。私も長男。その意味で思うところはあるが「田舎の長男」という切り取り方は、物事の本質を見落とす可能性があると思う。
最高経営責任者 蜘手 健介
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