(2)4月始まりとお金 労働と雇用制度(2024.4.14)
4月になり新しい年度を迎えている企業も多い。
弊社ロビンも創業記念日の4月3日に社員大会を行なった。今年度で24年目。現状に甘んじず挑戦を社員と共に誓った次第である。
ところでなぜ「年度」つまり「会計年度」が4月始まりなのかご存知だろうか。国利公文書館ニュース「あの日の公文書 4月1日会計年度の始まり」から抜粋して以下に要約。
明治政府が初めて会計年度を制度化したのは明治2年(1869年)その時は10月始まりだった。西暦を採用した明治6年から1月始まりになった。つまり暦年と会計年度が同じ時代があった。
明治8年になると地租の納期に合わせるという目的で7月始まりになった。
(地租は土地を課税対象にする税の総称で現在の固定資産税である。江戸時代の地租は工作農民が米によって収める物納制だったがこれでは農作物の豊作や凶作によって税収が大きく変動する。そのため明治6年、地租改正が交付され金納固定税となった。)
次に会計年度を変更したのは明治17年。その頃の日本は国権強化策から軍事費が激増し収支の悪化が顕著になっていた。当時の大蔵卿である松方正義は任期中の赤字を削減するために次年度の予算の一部を今年度の収入に繰り上げる施策を実施。
そして予算繰り上げによるやりくりの破綻を防ぐための松方は一策を講じた。明治19年度の会計年度を7月始まりから4月始まりに法改正をしたのだ。これにより明治18年度は9ヶ月に短縮され予算の辻褄をあわせると同時に赤字も削減された。
こうして会計年度が4月始まりになったが、合わせる形で学校などの新年度も4月スタートになっている。(以上、ここまで)
新年度に春という季節も桜もまったく関係なかったということ、結局のところ金かいなという思う次第。
閑話休題。
ニュースで入社式で新入社員のイベントなどを報じていた。大手企業でも極端に少ない採用人数だったところもあった。人材採用と定着は大手から中小まで大きな経営課題でこれからますます深刻化すると思っていたころと面白い本を読んだ。田内学著の「きみのお金は誰のため」である。
この本には「賃金を上げるため労働生産性をどう上げるか」に対する2つアプローチについて書かれている。
1つめのアプローチは生産額(生産量×価格)を増やすこと。成熟した日本社会で不足しているものはほとんどなく生産量を増やすことには限界がある。そうなると付加価値をつけ価格を上げるしかない。
しかし生産者はつまり消費者でもある。世の中の全ての価格が上がれば賃金も上がるかもしれないが消費額も上がり実質賃金は変わらない。日本政府が主導している手法の本質である。
2つめのアプローチは投入する労働力を減らすこと。つまり不要な仕事、不要な労働力をクビにすることだと著者は言っている。
経済は既存の産業の雇用を減らして新しい産業やサービスの雇用を増やすことで進歩してきた。不要な部署や労働力を確保しグダグダするより、思い切ってクビにしたほうが社会全体の経済は活性化するということなのだろう。
実際、以前のリクルートは40歳定年だと聞いたことがある。だから社員は入社した時から退社し起業することを頭に置いて仕事をするのだとか。逆にいえばリクルート社は40歳以下でできる仕事しかないということになるが、他の企業でも40代以上でないとできない業務は意外に少ないのかもしれない。
経済は不要な労働力を手放して、その労働力が新しい価値とサービスを創造して拡大してきたのが本質なら、日本企業の問題は労働力不足ではなく緊張感の欠けた終身雇用制度なのかもしれないと思った次第。
最高経営責任者 蜘手 健介
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