お家に使われている素材についてちょっと詳しくなれる豆知識
お家を作る上で、建材には様々な素材が使われています。ぱっとお部屋を見回すだけでも、壁、床、窓、多種多様な素材が使われていることが分かります。今回は、そんなお家に使われる素材について、解説していきます。素材について詳しくなれば、どういった素材でお家を作るか、どれだけ長持ちするのかが分かるようになります。ぜひ、お家の将来設計のためにご参考とされてください。
目次
お家の素材は大きく分けて2種類!
非常に大きなくくりとなりますが、お家に使われる素材は2種類に分けられます。それは、有機素材か無機素材かの違いです。家を作る上で、無機素材だけ、あるいは有機素材だけしか使わないという事はありません。どちらにも一長一短があり、最も適した素材を使用してお家は作られています。ここからは、素材別にお家のどこで使用されているかを見ていきましょう。
有機素材とは
有機素材とは、生き物や人が作り出した素材のことです。ちょっと漠然としすぎていますので具体例を挙げますと、木材なんてものはどうでしょう。当たり前ですが、木材は木からとれます。木は植物で、生きていますよね。さらにゴムの木からとれる天然ゴム。こちらも木からとれるものなので、有機物です。これらは、イメージしやすい有機物と言えます。逆にイメージがしにくい有機物はと言えば、石油を原料とし、人工的に作られた化学製品群があげられるでしょう。プラスチックが有名です。石油は、太古の昔、積み重なったバクテリアや藻などの生物の死骸が地殻変動などで地下に閉じ込められてできたもの。ですから、元をたどれば生き物が作ったものなんです。柔軟性があったり、伸び縮みするようなものは、多くが有機物だったりします。一般的に燃えやすい性質を持っているため、火の近くなどは難燃性のボードなどで保護します。
木材・草
言わずと知れた非常に有用な建材です。日本では古くから木材を使って住居を作ってきました。木の香りをかぐと心が安らぐのは、人がサルだったころの名残だとも言われていますが、ヒノキをはじめとする和の香りは、日本人の住居文化に基づいたものかもしれません。木造建築では、主に家を支える構造材として用いられます。新築が建てられている際、柱や梁などが木材で作られた住居はよく目にしますよね。
木材は加工がしやすく丈夫な建材ですが、ひとたび腐ってしまったり、シロアリに襲われてしまうと非常にもろくなってしまいます。ちなみに木が腐るためには条件が必要で、木材腐朽菌という菌が繁殖することで木は腐ります。繁殖の条件としては、菌にとってちょうどよい塩梅の水分量。実は、水分が多すぎると、木って腐らないんです。木材腐朽菌が繁殖できないからです。ちなみに木材腐朽菌と聞けばなじみの薄いよく知らない菌という印象ですが、身近なものだとシイタケやマツタケがあげられます。キノコは木を腐らせながら成長するのです。
草も古くから使われてきた建材で、イ草を使った畳は和風建築には欠かせません。他にも土壁や茅葺き屋根にも藁などの草が使われています。近年では、防水性とクッション性を高めた畳風のフロアマットなども売り出されていますが、イ草ではなく樹脂で作られているケースもあるようです。
プラスチック
プラスチックは、石油を基に作られる有機素材。柔軟性が高く、加工がしやすくて色付けも容易であり硬度も自由自在。様々な用途に用いられます。配合する素材により、抗菌性や、高耐久性などを持たせることができます。最近は断熱性に優れた樹脂製の窓が人気です。一方、断熱・保温効果を持たせることもできるため、廉価な断熱材や発泡スチロールなどは樹脂製です。お風呂の浴槽やキッチン、洗面台などによく使われる名称「人工大理石」。こちらは実際に大理石を人工的に作り出したのでなく、まるで大理石のように見える樹脂製品。配合する素材はメーカーによって差はありますが、上位グレードの物となれば、金属製の製品よりも固く、傷が付きにくい物も。
(参照:日精樹脂株式会社 プラスチックの話)
無機素材とは
無機素材とは、先程説明した有機素材に含まれない物質を指します。鉄や水、ガラスなどが例として挙げられます。有機素材に比べて単純な元素で構成されていることが多いです。自然界に多く存在しており、燃えにくいものが多く、頑丈です。また、石材やセラミック、ガラスなどは非常に安定した状態となっているため、腐食や変質を起こすことが少なく、長持ちする建材と言えるでしょう。
石・コンクリート
非常にシンプルな無機素材ですが、石も立派な建材です。ヨーロッパや日本のお城の石垣などにはよく石が使われていますよね。古い住宅にもよく石は使われています。柱を直接地面の上に立てると、水で濡れるなどして腐ってしまいがち。ですので従来の住宅では束石(つかいし)という石の上に柱を建てました。今でも束石は現役です。平面が出しやすいコンクリート造りの束石は、ウッドデッキを支えたり、より大きく広げられ基礎として活躍しています。
石は非常に安定した物質なので半永久的に持ちますが、コンクリートには寿命が存在します。海岸部などの悪条件下では50年、通常だと100年ほど耐久します。住宅では問題ない年数ですが、ダムや橋、トンネルなどの長期使用されるものだと困りものですね。余談ですが、ローマ時代に作られたローマンコンクリートは、自己修復機能があると近年研究で明らかにされました。1000年以上持っているコンクリートも存在します。昔の人の知恵はすごいですね。
金属(鉄、ステンレス、アルミ、銅、合金)
鉄
大量の鉄を精錬するためには、巨大な設備が必要なためです。日本は粗鉄の製造で世界第三位。一位が中国、二位がインドです。どちらも非常に国土が広く、人口も多い国なのでランキング上でも島国の日本は目立ちます。アメリカよりも日本の方が鉄を作っているのですから、驚きですね。加工がしやすく、とても丈夫な金属でなじみ深い素材です。
ただ、純度の高い鉄は非常に錆びやすく、自然界に存在する鉄は軒並み錆びています。鉄鉱石が赤いのは、錆の塊だからです。同時に刀の原料となる砂鉄は黒色ですが、これも実は錆びています。黒錆と呼ばれる錆に覆われているのです。赤錆は表面にたくさん隙間がある錆で、ほおっておくとどんどん鉄を内部まで侵食します。逆に黒錆は鉄の表面が隙間なく錆びている状態で、全体が黒錆に覆われると内部まで錆が進行することはありません。
黒錆は鉄を熱することで手に入ります。自然界に存在する黒錆の砂鉄は、火山活動で生まれたものです。黒錆の代表と言えば、鉄棒やマンホール。表面がしっかりと錆びているので、内部に錆が侵食しないのです。また、錆の原因は空気に触れることなので、塗装を全体に施すことで、鉄が錆びることを防げます。鉄を住居の構造材にしたお家を、S造(スチール造)、鉄骨造りなどと呼びます。木材よりも強度が高いので、自由な空間を作りやすい特徴があります。その代わりお値段はやや高め。
磁石がくっつくのが特徴で、鉄を使用しているホーロー製のお風呂やキッチンには磁石が使えます。
(参考:鉄鉱石ってなに?その生い立ちに迫る)
ステンレス
ステンレスは、鉄と他の金属を混ぜ合わせて作られた合金です。ステンレスは鉄とは異なり、錆びません。というのは誤りで、ステンレスもしっかりと錆びています。ステンレスは表面に薄い錆の層(保護膜)を作る金属なので、錆ているように見えないだけです。また、もらい錆という言葉がありますが、この錆びないステンレスでも、鉄や他の金属とくっつけて一緒に錆びると、鉄と同じく赤茶色の錆を発生してしまいます。ステンレス製のシンクに鉄なべなどを放置すると跡が残ってしまうので、要注意です。水廻り製品の多くは、錆びに強くするためにステンレス製を採用しています。
アルミニウム
アルミニウムはとても軽く、加工がしやすい素材です。表面に白っぽい膜を作りますが、これがアルミニウムの錆です。ステンレスと同じく、錆びの進行を防ぎます。アルミと聞いて思い浮かべる建材はアルミサッシ。現在も多くの住宅に採用されています。ただ、アルミニウムの特性として、熱を非常に伝えやすいという点が難点です。サッシがアルミ製だと、窓の外の寒さや暑さをかなりの量室内に持ち込んでしまいます。
その対策として、樹脂サッシが採用された家が増えてきました。後付けで高い断熱性を確保できる内窓(窓の内側にもう一枚窓を設置)は非常に人気です。アルミサッシが普及した当初は、木製のサッシが主流でした。木製のサッシは経年劣化で反りや割れが発生し、ガラス部分もがたつきます。それに比べアルミサッシは高い気密性を誇り、耐久性も高かったため普及したんですね。結露しても、赤錆が発生せず、美観が長持ちするアルミニウムなら問題ありません。当時アメリカの住宅がアルミサッシを多く使用していたことも普及した理由の一つと言えるでしょう。
銅
神社仏閣では銅板の屋根を使用しているところもありますが、住宅で使用されるケースはまれです。金額が2~3倍と非常に高額なので、あまり普及していません。一般住宅で使われている銅は、電気系統が主です。コンセントの裏側から分電盤まで、銅線が伸びています。普段何気なく使用している電気ですが、コンセントに流れる電気を直接受けると、最悪死に至る場合も。決して濡れた状態で使用したり、火災の原因となるたこ足配線は控えましょう。プラグに溜まった綿埃が焦げ付き、出火元になるケースもあるため、小まめに点検し、年に一度は全てのコンセントに刺さっているプラグ周りを清掃しましょう。
合金
合金とひとくくりでまとめても、その性能や組み合わせは多岐に渡ります。屋根材に使われるガルバリウム鋼板、手すりや装飾に使われる真鍮、ステンレスも合金です。それぞれ使用目的が異なり、それぞれに合った合金が使われています。
・ガラス、セラミック・陶器・レンガ
粘土を高温で焼き上げたセラミックも、無機素材。お風呂屋キッチン、洗面台のタイルやトイレの便器などに使用されています。セラミックは多孔質素材といって、スポンジのように小さな穴が複数開いている構造となっています。その特徴を生かし、セラミックや珪藻土、漆喰で作られた壁は、調湿効果がございます。窓で有名なガラスも、有名な建材ですね。レンガなどでできた壁は非常に丈夫で、何十年と耐久します。(日本は地震がおおいので、外壁として用いる際などは鉄筋などで補強します)
(参照:LIXIL家を建てる前に知っておきたいタイルの話、ガラス産業連合会)
施工事例
S.168 眺望と大空間を両立!ロビンスタッフの家 岐阜県各務原市
S.169 断熱にとことんこだわり。ハイスペックな平屋住宅 岐阜県高山市
R.081 スッキリと暮らせる2世帯リフォーム 愛知県一宮市
まとめ
今回は建材に使われる素材について振り返ってみました。実際に素材が使われる際は、高い耐久性を誇る鋼板外壁(鉄)に塗料(樹脂)をぬり、最後にシーリング(シリコン)で目地を埋めて完成、といった具合にしっかりと硬く守る素材と、伸縮性に優れた部材といったように2つ以上の素材を駆使して、高い気密性や、断熱性、ひいてはお客様の安心を実現します。お家についてのお悩みは、お近くの店舗にお越し頂ければスタッフが対応いたします。サイト上部の電話連絡先や、LINE相談も承っています。ぜひお気軽にお申し付けください。
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