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住まいのアイデア
2023.01.23

憧れの暖炉&薪ストーブ! 導入の注意点や施工事例をご紹介!

補助金 薪ストーブ 暖炉 ペレットストーブ

ゆらゆら揺れる癒しの炎。遠赤外線によるじんわりとした温かさ。ご自宅に暖炉を構え、ゆったりと過ごす時間はロマンあふれる贅沢な時間です。暖炉を構えるためには大掛かりな工事が必要ですが、近年人気なのが薪ストーブ。コンパクトながらも暖炉以上の暖房機能と天板でのちょっとした調理機能が魅力です。しかし、ちょっと待ってください。暖炉や薪ストーブは心惹かれる暖房設備ですが、実は想像以上にコストがかかったり、一歩間違えれば火事に繋がったりと、注意が必要な器具でもあります。購入済みの方も、購入を検討されている方も、このコラムを今後のご参考にしていて頂ければ幸いです。

暖炉・薪ストーブの歴史

映画などで家族団らんのシーンとなると、よく目にするのが暖炉。柔らかな光に包まれて、穏やかに会話する情景に憧れる人は多いはず。ヨーロッパを中心に発展した暖炉文化ですが、その昔は壁付けの暖炉ではなく室内の中心に位置していました。まるで、日本の囲炉裏ですね。暖を取るだけでなく、そこは炊事場も兼ねていました。我々が知る形の暖炉が登場したのは、中世ヨーロッパの中期ごろ。とはいえ、近世になるまでの間も、一般家庭では立派な暖炉を設けることは出来ず、囲炉裏や火鉢のような簡易的な暖房兼調理場が主流でした。装飾の施されたマントルピースと呼ばれる、私たちがイメージする暖炉は上流階級にのみ許された高級品。そんな歴史をたどってきたからこそ、今なお欧米では暖炉を求める人が後を絶たないのかもしれません。

一方、薪ストーブは、1742年に政治家で発明家のベンジャミン・フランクリンが発明しました。名前を取ってフランクリン・ストーブ(ペンシルバニア暖炉)と呼ばれたこのストーブは、現在の薪ストーブと同じく、5面を鉄で覆われた形状をしています。現代の薪ストーブと比べると燃焼効率や暖房性能に劣りますが、構造自体はほとんど同じ。暖気の多くを煙突から排出してしまう暖炉と比べると、周囲全体を暖めることができ、薪の使用量も随分少なくなりました。画期的な発明であったことは間違いありません。薪ストーブは広く受け入れられ、現在も世界中で使用されています。

暖炉、薪ストーブを導入するメリット

インテリア性抜群

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暖炉も薪ストーブも、お部屋の中にあるだけでお家を象徴するインテリアとなります。日本での普及率は1%程度、それも山間部などに集中しているため、訪れる人の目を引く存在であることは間違いありません。活躍の場は冬に限定されますが、ちょっとしたストーブ料理をふるまったり、燃える炎を眺めながら音楽を楽しんだりとお金で買えない豊かな時間を過ごせること間違いなしです。最近ではキャンプの需要に伴って、テント内外で使用できるロケットストーブ(薪ストーブの簡易版)をDIYする人も増えています。炎の魅力に取りつかれた仲間たちとご自宅で火を囲む時間は、何物にも代えがたいものとなるでしょう。

炎のリラックス効果

炎には1/F揺らぎ(えふぶんのいちのゆらぎ)効果があります。1/F揺らぎとは、自然界に存在する、連続性のない揺らぎのことで、不規則なものが調和している状態を指します。これを見たり感じたりすることによって人間は癒しの効果を実感します。1/F揺らぎは他にも木目や木漏れ日、小鳥のさえずりや雨音などがあげられます。同様に炎にも同じ効果があり、薪が燃える音や炎の揺れはじっと近くで感じているだけでも、日々の疲れが安らぎます。それに加えて暖房効果もあるので、ついうとうとしてしまうかもしれませんね。

暖房効果

暖炉や薪ストーブは、輻射式の暖房器具となります。エアコンやファンヒーターは熱せられた空気を送り込み、部屋全体を暖めるのに対して、輻射式の暖房器具は、熱源から発せられる遠赤外線のあたる範囲のみが暖められるという特性を持ちます。電気式だと、ハロゲンヒーターなどが有名です。ただし、暖炉や薪ストーブによって周囲の空気が緩やかに暖められることによって空気が循環するため、ハロゲンヒーターとファンヒーターの中間のような暖房特性を持ちます。一番近いものとしては、オイルヒーターなどがあげられるでしょう。あたたまるまでに時間はかかりますが、体を芯からじんわりとあたためる効果が特徴です。ただし、空間を暖める効果はエアコンなどに劣るため、十分に機材が温まってからしばらくの間は暖炉や薪ストーブの近くにいなければ、十分な暖かさを感じられないかもしれません。

調理機能

暖炉はかなり大きなものでなければ囲炉裏のような吊り具を導入することができず、調理機能を発揮することは難しいですが、薪ストーブであれば、機種によっては天板で調理が可能なタイプもあります。火加減の調整が難しいのはご愛敬で、目にも楽しいストーブ調理が可能となります。また、煮込み料理などもガス代を気にすることなく行えるメリットがあります。

暖炉や薪ストーブを導入するにあたって注意すべき点

費用対効果

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現実的な話をすると、暖炉及び薪ストーブの暖房効果に対する費用は、電気式の暖房よりもコストがかかります。それは単純に燃料である薪の入手性の悪さに起因します。薪ストーブだけで暖を取ろうとすれば、月当たりの薪代だけでも5万円を優に超えてしまいます。あくまで、薪をホームセンターなどで購入した場合での試算ですが、薪ストーブで暖房費用が安くなるという事はないようです。ただし、山間部などで薪が無料で手に入る環境であれば、話は変わってきます。自治会などで枝打ちなどを頻繁に行い、休日のその作業に頻繁に参加する場合などもその限りではありません。生木はそのまま使用できませんので2年ほど乾燥期間を設ける必要があります。湿気ったままだと朽ちてしまう可能性もあるため、雨のあたらない場所で、ゆっくり乾燥させましょう。

しかしながら、それはあくまで暖炉や薪ストーブをメインの暖房として使用した場合の話です。エアコンなど、他の暖房器具と併用すれば、薪の使用量もぐっと削減できます。趣味の範囲として、休日のみであったり、人が集まった時のみの使用であれば、決して暖房費用が高くなりすぎるという事はありませんので、ご安心ください。

導入に当たっての注意点

せっかく導入したのに、こんなはずじゃなかった、と暖炉や薪ストーブが思うように運用できない場合があります。事前にその可能性を十分理解の上、対策を講じていきましょう。

火災に注意が必要

暖炉や薪ストーブを導入するにあたって、気を付けなければならないのは、やはり火災。解放されている暖炉ならまだしも、鉄の箱の中に炎を閉じ込める薪ストーブは一見安全に見えます。扉を開けっぱなしにしさえしていなければ火の粉も飛ばず、どこから火災が? と疑問に思う方も多いでしょう。

火災の可能性としては、大きく2つ考えられます。ひとつ目は、火災輻射熱。輻射式の暖房器具は、本体が非常に高温となります。そこから放射される遠赤外線は空気を素通りし、遠赤外線が当たった物体の表面を直接温めます。距離が離れれば離れるほど遠赤外線は減衰しますので、十分な距離を保っていれば問題ありませんが、危険なのは距離が近い場合です。暖炉や薪ストーブはキッチンのコンロなどと同じように、建築基準法にて室内に設置する場合は天井や周囲に不燃性の建材を使うよう定められています。コンロの火元に可燃性の物を置く方は、炎が目に見えるためなかなかいらっしゃいませんが、薪ストーブは勝手が違います。炎が中に閉じ込められているため、ついつい薪ストーブの裏や横のスペースに薪などを置いてしまいがち。しかし置き方によっては、危険な場合も。

同じ輻射式の暖房器具であるハロゲンヒーターでも、近くに物を置いてしまうと焦げが発生し、それが続くと火災が発生しています。ハロゲンヒーターはその熱量を電熱線の明かりで判断できますが、薪ストーブは見た目では表面温度を把握できません。目に見えない遠赤外線は静かに放射され続けているため、気付かぬうちに薪などに火が付いてしまうことも。空気が乾燥した冬に、一年間置きっぱなしでホコリの被った薪などが周囲にある場合は、要注意です。延焼の可能性は極力排除するに越したことはありません。

2つ目は意外な盲点、煙突火災です。煙突は薪ストーブや暖炉などの素材と同じく、不燃材料の鋼板で作られています。煙突が火災の原因と聞いても、イメージがわきにくいかもしれません。そんな方のために、煙突火災が発生する流れを簡単にご説明致します。大前提としてご理解いただきたいのが、乾燥した木材は未精製の可燃原料だという事です。ガスや灯油など、普段私たちが暖房に使っている燃料は精製された原料です。大きな違いは、燃焼させたときに出る不純物の量。ガスなどと異なり、木材は燃焼した際にタールや煤などを大量に吐き出します。高性能な薪ストーブは2次燃焼機能などを持ち合わせているので、これらの不純物の排出量は少なくなりますが、それでもゼロにはできません。

燃焼後、高温になった空気と共にタールなどが巻き上げられ、煙突を通り抜けます。煙突の屋根から突出した部分や先端の排気口では、それらの不純物が急激に冷却され、内側に付着・蓄積していきます。それらが空気の通り道を妨げ排気が十分に行われないと、熱を持った空気が煙突内にとどまってしまいます。そうすると煙突内部が1000度を超える高温になってしまい、煙突と接触する壁や天井部分が熱され、火災となってしまうのです。燃えるからと言って決して合板や紙、プラスチックなどを燃やしてはいけません。素材に含まれる成分が煙突内部に固着し、煙突火災を誘発する原因となるからです。使う事の出来る木材の種類は、設備の種類やメーカーの説明書をよく確認しましょう。

もちろん扉を開けたとき、ちょうど薪が弾けて火のついた木材が床に転がる可能性だって十分あります。薪ストーブの周りには、火が付きやすいカーペットなどは配置しないよう心がけて下さいね。

メンテナンスが必要

薪ストーブや暖炉はメンテナンスフリーではありません。特に、火災の項目で開設した煙突火災は絶対に防がなければなりません。煙突の掃除は、業者に依頼すれば1回/3万~6万円程度となっています。DIYでも掃除は可能ですが、屋根の上に上る必要があること、煙突掃除中に舞い上がる煤などは有害物質であることなどから、業者の方に依頼するのが一番安全で確実です。慣れない方がご自身で掃除をすると、本来掃除をしなければいけない部分を見逃し続け、数年後に空気の通り道がふさがれて火災が発生してしまうケースも。専門的な知識を身に着けるまでは、掃除を請け負ってもらいましょう。一般的には年に一回の清掃が基準となりますが、薪ストーブの使用頻度が極めて少ない場合や逆に多い場合などは、業者の方と相談し、清掃頻度の確認をオススメします。

においや煤、音による近所トラブル

もしかすると、これが一番厄介な問題かもしれません。煙突から出てくる煙には、灰やにおいが混ざっています。特に着火直後は不完全燃焼気味になるため、煙がもうもうと上がるケースも。ご近所様から苦情が出る場合は、使用を取りやめざるを得ないでしょう。住宅が密集しているエリアなどで暖炉や薪ストーブを導入する場合は、入念に聞き込みを行ったり、他の家庭で同様の暖房器具を導入しているかを確認したりすると良いでしょう。ある程度隣家から距離がある場合などを除き、使用する時間帯も洗濯物が干される日中の時間を避けるなど、最低限の配慮は導入後も必要となるでしょう。原木を入手する場合、薪割りなどの音も苦情の原因となる場合があるため、こちらも注意が必要です。

薪の入手性

暖炉や薪ストーブの普及に伴い、薪の入手性は昔に比べるとずいぶんよくなりました。導入前に、近所のホームセンターなどでどれくらいの量の薪が販売されているか、価格は手頃かなどを事前に調査すると良いでしょう。インターネット通販などでも薪は購入可能なため、価格の比較をしておくと安心です。とはいえ、やはり理想は原木を無料で入手する事ではないでしょうか。休日に薪割りを趣味にしたいと考える方も少なくないかもしれません。薪についてインターネットで調べてみると、果樹園や組合などから無償で譲渡されるケースがある、と紹介されているものをちらほら見かけます。この部分のみを鵜吞みにしてしまうのは、少々危険です。

まず大前提として、木材は枝つきの物であっても、売れるもの、という認識を持つことが重要です。特に暖炉や薪ストーブに使えるような原木は、いい値段で売れます。無償譲渡はよほど処分に困っている場合を除き、稀であると覚悟が必要です。仮に譲っても良いという話でも、立地が悪く買取を行う業者のところまで運ぶのが困難である場合や、作業を行う方が高齢で、搬送が苦痛・面倒だと考えている可能性が考えられます。

実際に組合の方から聞いた話では、近年、薪ストーブに使用する木材を譲ってくれないか、という問い合わせが急増しているそうです。しかし、多くの関係者は木材の配布を拒否していると言います。森に手を入れる場合や果樹の剪定作業は危険を伴う重労働です。対し、材木の処分はその場で燃やしてしまったり、放置したりすれば手間もかかりません。薪だけを譲ってくれと言われると、最後の美味しいところだけをさらわれるような気がするとおっしゃられていました。薪を仮に譲ってもらう場合は、剪定作業のお手伝いや地域の山林作業に携わるなど、人と人との関係性も大切になってくるようです。

煙突がいらない? 補助金も受けられるペレットストーブ

ペレットストーブとは、木質ペレットを使用したストーブのことです。壁に吸排気口を設ける必要がありますが、屋根上まで伸びる煙突は不要です。灯油ストーブの燃料が木質ペレットに変わったような使い勝手で、電気を使って点火します。ペレットの追加はストーブが自動で行うため、扉を開閉する必要がありません。温風を出すこともでき、薪ストーブよりも早くお部屋を暖めることができます。灰を定期的に清掃する必要はあるものの、部屋の空気を汚さず、火の揺らめきを感じられるハイブリットな製品です。岐阜県高山市では補助金を受けることもできますので、ぜひご参考にしてみて下さい。(2023年現在)

【高山市木質バイオマス活用促進事業補助金】ペレットストーブ・薪ストーブ1体につき購入費用の1/3、限度額10万円。ペレットボイラー等1台につき購入・設置・工事費用の1/3、限度額30万円。大型ペレットボイラー(出力4万kcalを超えるもの)1台につき、購入・設置・工事費用の1/3、限度額500万円。(詳しい情報はこちらの高山市HPより

経験のある業者へ依頼する

暖炉や薪ストーブ等は非常に魅力的な反面、メンテナンスや施工に大変注意が必要な設備です。断熱がおろそかになると、暖炉や薪ストーブが使えなくなるだけでなく、火事で家屋が全焼なんてことにもなりかねません。設置に関しては、今までに暖炉や薪ストーブを取り扱った実績のある業者へ依頼するのがベストです。しっかりと対策を行った上で、きちんとメンテナンスさえ行えば、安心して暖炉や薪ストーブの楽しさを最大限享受することができるでしょう。

施工事例(注文住宅)

S.006 サイドカーと暮らす心豊かな家族の家 岐阜県高山市

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S.156 室内で楽しく過ごせる自然素材の家 愛知県春日井市

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施工事例(全面リノベーション)

R.050 薪ストーブのある玄関、和の空間リフォーム 岐阜県高山市

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R.034 納屋を新築同然にリノベーション!「眺めのいい家」 岐阜県高山市

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R.033 ペレットストーブで暖かいLDK、自然素材の家 岐阜県岐阜市

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R.017 薪ストーブがだんらんの中心の家 岐阜県高山市

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R.007 3世帯同居「それぞれの暮らし」を叶えた住まい 岐阜県高山市

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まとめ

暖炉や薪ストーブは、手がかかる暖房器具です。スイッチを押せば暖かい風が出始める近代的な設備でもなく、メンテナンスフリーでもありません。ですが、地域の人と交流して薪を手に入れ、自らの力で割り、薪を上手に組んで上手く火が付いた時の喜びと、揺らぐ炎はそれらを吹き飛ばしてしまうほどの魅力があります。すべてが便利に、ワンタッチで済んでしまう時代の流れに逆行するようですが、暖炉や薪ストーブのような手間を通じて得られる楽しさこそ、現代人には必要なのかもしれません。もしそういった手間を省き、炎の揺らめきを手軽に楽しみたいのであればペレットストーブという選択肢も。ご自身の生活スタイルに合った燃焼式の暖房器具を選ぶことが一番大切です。

 

(文責 坂田 陵)

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